アパート・マンションのオーナー様は、これからの季節「雨漏り」が発生しないか心配になると思います。実際、雨漏りが発生してしまうと、多くの住民から苦情が殺到してしまう上に、建物の価値がガタ落ちしてしまうので、できる限り雨漏りトラブルは避けたい気持ちが先行するのではないでしょうか。
では、雨漏りが発生しないために、どのような対策・対処ができるか考えてみましょう。
今回のお役立ちコラムでは「雨漏りさせないためのメンテナンスポイント」について考えていきたいと思います。
アパートやマンションの雨漏りによる被害
まずは、雨漏りが発生するとアパートやマンションにはどのような影響があるのか、今一度再確認しておきましょう。中には、多少のトラブルがあっても強気に行けばなんとかなるという妄想につきまとわれている方もいるかもしれないので、雨漏りの危険性を把握しておくことをおすすめします。
住民の生活に影響が出る
雨漏りが発生すると、住民の生活に大きなダメージが与えられてしまいます。これは、住民からのクレームにつながってしまうので、できる限り避けたい事案です。
室内で雨漏りが発生すれば、クロスや天井はもちろんのこと、住民の財産にまで被害が及んでしまいます。オーナーの責任としては、家財ではなく設備の補償をしなければなりません。これはアパートやマンションに掛けてある火災保険を活用できるケースがほとんどです。
ただし、保険が活用できるのは「定期的にメンテナンスを欠かしていない」という前提条件が必要です。そのため、メンテナンスを怠ることは許されません。
万が一、メンテナンス不足による雨漏りだと判断されてしまった場合は、オーナーが自腹で修繕費用を捻出することとなるでしょう。
住民の家財に関しては、入居時に加入してもらう「家財保険」で対処することができます。
建物の価値が落ちる
雨漏りが発生した建物というのは、構造躯体にまでダメージが蓄積していることが考えられるため、修繕をかけたとしても「雨漏り物件」としてその価値を落とすこととなってしまうでしょう。
賃貸物件でも分譲物件でも、雨漏りの海は非常に大きな問題になります。室内で雨漏りがするとわかっている部屋は、基本的に誰も住みたいとは思いません。仮に、家賃が1万円を下回るような状態で、ようやく雨漏りを許容して住んでも良いと考える方が出る程度でしょう。
それぐらい雨漏りは大きな問題なのです。
しかも、これが分譲物件だったと考えてみてください。通常であれば500万円程度の中古物件として販売できるものが、雨漏りが発生するというたったそれだけのことで、長期間買い手がつかなかったり、価格が数十万円台に落ち込んでしまったりという状況になってしまうのです。
これだけ条件が悪くなっていても、必ず買い手がつくとは限りません。なぜなら、室内だけの問題ではないということを誰もがわかっているからです。
構造躯体でサビが発生すれば、鉄骨爆裂が発生する可能性も十分に考えられます。それも、広範囲で発生するような建物には誰も住みたいとは考えないでしょう。今お住まいの住民からも同じような件でクレームが入る恐れもあります。
そうなった場合、修繕義務を果たさなかったとして賠償問題になるケースもあるということを忘れないでください。
大規模改修が必要になる
雨漏りが発生したとなると、発生原因の特定に始まり、経路探索、修繕業者の選定、管理組合を通じて住民への説明会など、かなりの時間と労力を割かなければならなくなります。そして、建物の劣化状況を回復していくための大規模改修が必要になるのです。
劣化診断を行った結果、どれだけの規模で修繕が必要になるかは、その時によって変わってきます。早い段階であれば簡単な補修工事で済んだものが、時間が経つにつれて改修規模は膨らんでしまい、数ヶ月から年単位での修繕工事となることも少なくありません。
このような事態にならないためにも、定期的なメンテナンスを心がけて、建物の健全性を確保するように努めなければならないのです。
アパートの雨漏り対策
アパートでの雨漏りを発生させないためには、どのような対策を講じておけば良いのでしょうか。ポイントとなる箇所に重点を置いて、十分なメンテナンスができるように考えてみましょう。
定期的な屋根塗装
アパートの雨漏りの原因の多くは「屋根」にあります。そのため、定期的に屋根塗装を施すことで建物全体の劣化状況をカバーする必要があるでしょう。
三角屋根の建物であれば、屋根材の劣化やルーフィングシートの劣化などが雨漏りの大きな原因となります。陸屋根の場合は、屋根部分の防水工事が劣化して雨漏りに発展することが考えられるでしょう。
この「屋根塗装」を行うだけではなく、定期的に「雨漏り診断」のような劣化診断を受けることをおすすめします。これをしておくだけで、トラブルを未然に防ぐ機会を手に入れることができるのです。
外壁の劣化症状を早めに対策
屋根だけではなく、外壁からも雨漏りは発生します。ひび割れやシーリング材の劣化は雨漏りの入り口になることも多く、苔が生えているような場合はすでに内部に水が入りやすい状況が発生している可能性もあるのです。
外壁が入り口となっている場合、直接室内に入り込むというケースは少なく、断熱材や石膏ボードが先にダメージを受けることになります。断熱材は水分を付近で崩れるようになり、石膏ボードは内壁の基材として保持されなくなってしまうでしょう。
もし、外壁にトラブルが発生している場合には、早めに業者に対処してもらうことをおすすめします。
窓のリノベーションも検討
外壁関連で、窓周辺のトラブルも雨漏りの原因になることがあるということを覚えておきましょう。そもそも、外壁材に大きな開口部を作って設置されているものなので、窓周辺は外壁の耐久性が最初から落ちています。
そのため、上部分からヘアークラックが入りやすいということは多くの塗装業者も注意喚起しているところです。これを補修するのが重要だという業者が多いのですが、今は「住宅省エネ2024キャンペーン」も行われているところなので、補助金制度を活用して窓のリノベーションを同時に行ってしまうのも賢い選択だと言えます。
サッシを新しい断熱性に優れた素材に変更し、使用するガラスもペアガラスにすることで、今後の光熱費を引き下げることができるようになるでしょう。ただ修繕するのではなく、機能性をアップさせながら修繕を加えるという方法は、かなり効率的だと言えます。
しかも、補助金を活用して工事が行えるので、費用負担を軽く済ませることができるのです。ぜひ検討してみてください。
住宅省エネ2024キャンペーンの中の「先進的窓リノベ2024事業」は環境省が発表している公式ページを確認してみてください。
マンションの雨漏り対策
マンションの雨漏り対策についても考えてみましょう。どのような対策をすべきなのか、そうすれば雨漏りが発生しないのかを理解した上で、最適なメンテナンスを行うようにしましょう。
屋上の防水工事
マンションの屋上は、確実に防水工事を行うようにしてください。これを怠ってしまうと、かなりの確率で雨漏りが発生してしまいます。マンションの規模によっては、工事自体がそこまで高額にならずに済む場合もあるので、できる限りコストを抑えて依頼できる業者を探してみましょう。
ただし、コストだけを重視すると「質の低い防水工事」になるケースも少なくないので、不十分な工事になってしまうのであれば、適正価格で高品質な工事をしてもらえる業者に依頼することをおすすめします。
屋上防水の場合、基本的には「シート防水」になると思うので、一般的な費用は「8,000〜15,000円/m2」です。耐用年数も10〜15年ほどと比較的長く、安定的にメンテナンス周期をキープすることができるでしょう。
施工方法には「密着工法」と「機械的固定工法」という方法が存在します。
一般的なのは「密着工法」で、床面にシートを隙間なく接着していく方法です。確実な床面の洗浄を行うことができれば、防水シートの密着不良は基本的に発生しないでしょう。
機械的固定工法の場合、床面に直接設置するのではなく、一旦緩衝材を挟み込んだ上で鉄板田ビスを用いて防水シートを固定していきます。この緩衝材があることで、万が一防水シートの下に水が入り込んでしまったとしても、緩衝材で水がストップできるのです。
ただし、コスト面でも作業性でも密着工法の方が優れているため、総合的に判断して密着工法による工事がおすすめです。
ベランダの防水工事
屋根だけではなく、ベランダの防水工事も忘れてはいけません。ベランダの防水工事を怠った場合、そのベランダを使用している住民ではなく「階下」の住民の室内で雨漏りが発生してしまう可能性が出てきます。
しかし、住民がいる状態でベランダの防水工事は非常にやりづらいというのも事実です。そのため、住民からの理解を得るという点が一番大きな問題となるでしょう。
ベランダの防水工事では、多くの場合「ウレタン塗膜防水」という方法で工事します。耐用年数は7〜10年程度とされていますが、おすすめは5年ごとの定期メンテナンスです。なぜなら、ウレタン塗膜を塗り上げる職人によっては仕上がりの質が変わってしまうため、シート防水のように常に一定の仕上がりが期待できる工事ではないからなのです。
通常、均一な厚みで防水膜を塗り上げていくのが重要ですが、状況によっては厚みに変化が出てしまうこともあり、早めにメンテナンスをすることで万が一防水膜の劣化が早い部分が出ても、トラブルが発生する前に対処できるようにという措置になります。
耐用年数を使い切って、もし雨漏りが発生してしまったらと心配しながらいるよりも、多少時期が重なっても安全な道を選ぶことをおすすめします。
外壁のクラック補修
マンションの外壁のクラックは、非常に厄介な問題です。高層マンションになるほどに、壁面はどんどん広がってしまうため、どこでクラックが発生しているか判断できなくなるようなケースも出てくるでしょう。
およそ15年ごとのメンテナンスが必要とされているので、これを守って外壁のクラックは早い段階で対処し切ることをおすすめします。
もし、メンテナンス周期の間でトラブルが発生してしまった場合、これは諦めるほかありません。十分な対策を講じているにもかかわらず、外壁のひび割れから雨漏りが発生してしまうような場合は、過去にどのような現象があったかを思い出してみてください。
- ・大規模な地震
- ・頻発する自信
- ・豪雪
- ・猛暑
- ・連発する台風
このような自然現象が目立った年があった場合、その周辺で劣化診断を受けていないとトラブルが発生したことを見逃してしまいます。
無料診断で良いので、建物に厳しい状況が発生した後には、メンテナンスではなく「劣化診断」を受けることをおすすめします。
梅雨明けしたら雨漏り診断を受けておくこと推奨
これから考えられるのは、どんどん推し上がってきている梅雨前線が日本列島に重なってしまうという状況です。そう、入梅ですね。
梅雨入りしたら、どれほどの期間雨に打たれ続けるかわかりません。この雨によって、隠れていたトラブルが表面化する可能性があります。
梅雨明けしたら、まず雨漏り診断を受けて、建物の状況をしっかりと確認しておくことをおすすめします。
雨漏り対策は鈴建にお任せください
アパートやマンションのオーナー様にとって、雨漏りは住民の生活に直接影響を与える重大な問題です。雨漏りが発生すると、住民からの苦情が殺到し、建物の価値も大きく低下してしまいます。また、メンテナンス不足が原因とされると修繕費用を自腹で負担しなければならない可能性もあります。
雨漏りを防ぐためには、定期的な屋根塗装や外壁のメンテナンスが欠かせません。屋根の劣化や外壁のひび割れ、シーリング材の劣化などが雨漏りの原因となり得ます。特に、屋根の防水工事は重要で、適切な工事を行うことで雨漏りのリスクを大幅に減少させることができます。
また、ベランダや窓周辺の防水工事も忘れてはいけません。ベランダの防水工事を怠ると、階下の住民の室内で雨漏りが発生する恐れがあります。窓周辺のリノベーションも検討し、補助金制度を活用して断熱性を高めることで、今後の光熱費を引き下げることができます。
鈴建では、雨漏り対策に関するご相談を随時受け付けております。梅雨明け後には雨漏り診断を受けて、建物の状況をしっかりと確認しておくことをお勧めします。これにより、建物の健全性を確保し、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
お問い合わせは、問い合わせフォーム、メール、お電話、またはショールームへの来店で承っております。鈴建は、安全で信頼性の高いサービスを提供し、アパートやマンションの雨漏り対策をしっかりとサポートいたします。雨漏り対策は、経験豊富な鈴建にお任せください。