外壁塗装を依頼すると、意外にも複数の工程を踏んで作業していることに気づくと思います。普段目にするわけではないものなので、珍しく感じるかもしれません。
そんな中、塗装工程が2回も3回も行われているシーンを目にすると「なんでそんなに塗ってるの?」と心配になるという方もいらっしゃいます。しかし、心配は不要です。不正はしていませんよ。
今回のお役立ちコラムでは「外壁塗装で何度も塗装工程を行う理由」についてお話ししていきたいと思います。その中でも、一番作業工程の意味が分かりづらい「下塗り工程」にフォーカスしてご紹介したいと思います。
プライマーとは
外壁塗装を行う場合、ざっくりと以下の順に作業が進んでいきます。
- ・足場仮設
- ・高圧洗浄
- ・養生
- ・ケレン作業
- ・下地補修
- ・下塗り
- ・中塗り/上塗り
- ・完了検査
- ・足場の解体
この中の「下塗り」で使用されるのが「プライマー」と呼ばれる塗料になります。他にもシーラーやフィラーと呼ばれることもありますが、どれも大きくは同じ用途で使用される材料です。
このプライマーですが、簡単に説明すると「塗料のための両面テープ」だと思ってください。外壁面は下地処理によって塗料が平らに塗り上げられる状態に仕上げられます。しかし、この状態では十分に密着力を発揮できない塗料はたくさんあり、せっかく塗装しても剥がれてしまう可能性があるのです。
そのような事態にならないために、外壁面にあらかじめ密着性の高いプライマーを設置し、さらにその上から塗料を塗り上げることで、プライマーが塗料をがっちりと掴み続けてくれるので、塗料が剥離するようなことがなくなるというわけです。
プライマーとシーラーとフィラーの違い
プライマーの他にシーラーやフィラーがあるというお話をしました。これらは呼び名だけが違うのではなく、細かく見れば役割が少しずつ違うのです。
プライマー |
塗装面の下地の役割を持っていて、塗料の密着性を向上させるために使用する |
シーラー |
塗装面の下地の役割を持っていて、塗料の密着性を向上させるだけではなく、経年劣化した下地に塗料が吸い込まれないようにカバーする役割も持っている |
フィラー |
モルタル壁のヘアークラックがある場合や、凹凸が多いタイプの外壁を平滑にするために使用される |
プライマーは基本的に「塗料の密着性向上」だけを目的とした下塗り材です。これがない場合、弾性が強い塗料は膨張しやすくなってしまい、意匠性が高い塗料は未着性が落ちることで剥離が始まってしまう可能性があります。
シーラーを使用すると、下地の劣化で塗料が吸い込まれることも防ぐことができ、色ムラが発生しづらくなるのです。
フィラーは水性しかなく、シーラーのアロの施工することもよくあります。また、最も使用されているのは「微弾性フィラー」と呼ばれる弾性を持ったフィラーです。ヘアークラックを保持する能力に長けているため、モルタル壁の救世主的ポジションにある下塗り材です。
また、サイディングには使用されることはありません。
プライマーの種類
プライマーにはいくつかの種類が存在します。それらの特徴を簡単にご紹介するので、こんなものがあるんだなという程度に知っておいてください。
水性プライマー
水性プライマーは、とても多くの素材に対し塗布することができる下塗り材で、比較的劣化が少ない外壁に適しています。カビの発生やサビの発生にはあまり効果を発揮しきれないため、使用する際は十分に正常を保てている外壁に向けて使用します。
水性プライマーは乾燥する時間が長いため、工事期間が若干長引くでしょう。得意としているのは以下の外壁です。
- ・モルタル壁
- ・サイディング
- ・鋼板
これらの外壁には水性プライマーが多く使用されています。
浸透性プライマー(油性プライマー)
表面的な下塗りだけでは十分な効果が発揮できないような外壁では、浸透性の高いプライマーを使用します。表面的な下塗りで足りない外壁とは、劣化が進んでいて補強が必要な外壁を指し、また、コンクリート壁やモルタル壁も、できる限り補強を入れたい外壁と言えるでしょう。
別名「油性プライマー」という点からも、水性プライマーとは特性が異なることがそう有象できるでしょう。乾燥時間も短く、工事期間に影響を与えることが少ないです。
浸透性プライマーを塗り込めることで、劣化していた外壁材が補強でき、耐久性アップが期待できます。
防錆性プライマー
その名の通り、金属製の外壁をサビから守るために生まれたプライマーです。このプライマーが誕生したことで、大きく塗装業界が進歩したと言っても過言ではありません。
通常、金属製の外壁はケレン作業でサビ落としをするのが一般的です。また、これをしなかった場合、そのまま塗装してしまうと、塗装の下でサビの進行が止められず外壁材が劣化し続けてしまうのです。
しかし、防錆性プライマーの中には、錆を落とす必要がなく、そのまま厚めに塗り上げることで平滑化できる上に、サビを鎮静化させるような効果まで持ったプライマーさえ存在するのです。
これほど効果的なプライマーを使用すれば、ケレン作業が大幅にカットすることができ、工事期間短縮が一気に進むというわけですね。
導電性プライマー
戸建て住宅で使用されることはほとんどありませんが、静電気による火災が気になる建物では導電性プライマーを使用することで、建物の静電気を抜く効果を期待することがあります。
もし、ご自宅で可燃性ガスを使用するような作業を行うことがある場合には、導電性プライマーを使用することで火災リスクを引き下げることができるでしょう。
例えば「製靴業」のようにシンナーを多用するような場合、静電気によって火災が発生するということもあるでしょう。そのような事故を防止するために使用するプライマーです。
プライマーを使用しなかった場合
プライマーを使用しなかった場合、塗装ができないというわけではありません。気をつけて作業すれば、塗装が失敗することもないでしょう。しかし、ミスが発生するリスクは飛躍的にアップしてしまうのも確かです。
そもそも、初めからプライマーが存在していたわけではありません。初めはそのままペンキを塗り上げるような作業をしていたものが、塗装剥離等のトラブルを経て生み出された下塗り材です。
つまり、下塗り材を使用することで失敗を回避することができるようになるというわけです。せっかくミスが発生しないようにできるのに、わざわざ失敗するリスクを犯す必要はありませんよね?
プライマーを必要としない塗料はある?
プライマーを使用すれば、塗装のミスは発生しづらくなります。ただし、工事期間がその分延長されるという点は覆すことができません。塗装1工程に乾燥工程の2工程は確実に増えてしまうのです。
この工事期間延長というデメリットを、回避することができる塗料も存在するということを覚えておきましょう。
シャネツトップワンSi-JY
最近の外壁塗装では「遮熱性」に注目が集まっています。そのため、遮熱塗料はとても重宝されているのです。しかし、ほとんどの遮熱塗料は下塗りを必要とするため、なかなか工事期間短縮は難しいのが現実です。
そんな中、アステックペイントのシャネツトップワンSi-JYは、下塗り材を必要としない塗料として多くの建物に使用されています。
- ・遮熱性
- ・耐候性
- ・防錆性
- ・作業性
- ・付着性
- ・工期短縮
これらに期待できる塗料です。
【製品データ】 ◯荷姿…16kgセット(A液:13.6kg、B液:2.4kg) ◯塗布量…0.24~0.32kg/㎡ ◯希釈…:屋根/0~2.1ℓ、外壁/0~0.8ℓ(アステックシンナーDX) ◯艶…艶消 ◯色…アステック標準色18色限定 【対応素材】 金属屋根(カラー鋼板※・ガルバリウム鋼板・ステンレス・アルミニウム)・金属サイディング(カラー鋼板※・ガルバリウム鋼板・ステンレス・アルミニウム)・各種旧塗膜 ※フッ素鋼板は除く |
REVOトップワンF/Si
外壁塗装で使用される最先端塗料は、どれもとても高額で、塗料の素材がフッ素になっただけで跳ね上がります。しかし、シリコン塗料よりもロングライフ性能に優れていることもあり、できればフッ素塗料を使用したいと考える方も多いです。
そんな中、REVOシリーズからトップワンとしてシーラーレスで塗装ができる塗料が生まれました。
厚みの熱塗膜にできるので、塗りムラや透けが発生することがなくなります。しかも、耐候性はREVO1000シリーズと同等なので、シリコンは13〜16年、フッ素は15〜20年のロングライフ性能を発揮します。
【製品データ】 ◯荷姿…15.15 kg セット(A液 15kg、B液 0.15kg)3.03 kg セット(A液 3kg、B液 0.03kg) ◯塗布量…0.25~0.35kg/㎡ ※塗布量及び塗回数は下地の材質・状態等で増える場合があります。 ◯希釈…ローラーの場合:0~ 5%(清水)エアレスの場合:5~10%(清水)※15.15kg 1セットあたり ◯艶…艶有・3分艶 ◯色…アステック標準色69色 【対応素材】 窯業系サイディング外壁(塗り替え回数は問わない) ※フッ素、無機系・光触媒の既存塗膜を除く 【対応下地】 フッ素、無機系・光触媒既存塗膜を除く、窯業系サイディング外壁(塗り替え回数は問わない)に対し、下塗材不要で施工可能です。 ※フッ素塗膜、変性無機塗膜、光触媒塗膜へは塗装できません。フッ素、無機系・光触媒既存塗膜に施工する場合は、エポプレミアムシーラープライマーJYやプレミアムSSシーラープライマーなど、適合する下塗材を塗装してください。 |
(引用:アステックペイント REVOトップワン)
外壁塗装は鈴建にお任せください
戸建て住宅の外壁塗装では、下塗り工程が非常に重要です。塗料の密着性を高めるプライマーを使用することで、塗装が長持ちし、剥離のリスクを軽減できます。下塗り材にはプライマー、シーラー、フィラーなどがあり、それぞれの役割を理解して適切に使用することが求められます。特にプライマーは、外壁に対する塗料の密着性を向上させるために欠かせないもので、これを使用することで塗料の剥がれを防ぎ、耐久性を高めます。
また、プライマーには水性プライマー、浸透性プライマー、防錆性プライマー、導電性プライマーなどがあり、外壁の状態や材質に応じて適切なものを選ぶことが重要です。特に、劣化が進んだ外壁には浸透性プライマーを使用することで、補強効果を期待できます。
さらに、近年では下塗り材を必要としない塗料も登場しており、工事期間の短縮に寄与しています。例えば、アステックペイントのシャネツトップワンSi-JYやREVOトップワンF/Siなどは、優れた耐候性や遮熱性を持ち、下塗りなしでも高い性能を発揮します。しかし、これらの塗料は全ての状況に適しているわけではないため、使用前に専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
外壁塗装をお考えの方は、ぜひ鈴建にご相談ください。私たちは、最適な塗料選びから丁寧な施工まで、お客様のニーズに合わせたサービスを提供いたします。お問い合わせは、問い合わせフォーム、メール、お電話、またはショールームへの来店で承っております。高品質な塗装と確かな技術で、お住まいを美しく保つお手伝いをいたします。外壁塗装は鈴建にお任せください。